2001年、11月の健康教室
 

 
 
糖尿病合併症


 
1. 糖尿病とはどんな病気?

 インスリンは膵臓のβ細胞から分泌されるホルモンで,食事の後に血糖が高くなると血液中のブドウ糖を下げ,血糖がある程度以上にならないように調節しています。このように,インスリンは血糖を正常に保つために,なくてはならないホルモンです。糖尿病とは,このインスリンの作用がきちんと表れず,血糖が高くなる病気です。
 血糖を高いまま放置していると,気づかないうちに重大な変化が進行し,ある日突然恐ろしい合併症が襲ってくるのです。
 

2. 糖尿病の合併症とは

 血糖が高くても,それ自身は痛くもかゆくもありません。しかしだからといって血糖を高いままほうっておくとやがて全身にさまざまな障害が起こってきます。これを合併症といいます。合併症は,高血糖そのものにより全身の血管壁や神経繊維が障害され起こってくるものです。つまり合併症とは血管と神経に対する「ブドウ糖中毒」の結果なのです。
 

3. 三大合併症とは

 1. 糖尿病性神経障害
 手足や内臓にいく神経線維が障害をうけます。特に知覚神経がやられやすく,足がしびれたり,じんじんしたり,ちくちくする痛みがおこります。症状は両足に現れ,足の指からはじまり足の裏→足の甲→下腿という風に症状が下から上の方に拡がっていきます。また夜間に症状が強いことが特徴です。
 糖尿病性神経障害のため足の感覚がなくなると,足にけがをしてもあまり痛いと感じないため放っておき充分に治療をしないため化膿したり大きな傷になってしまうことがあります。また,糖尿病では血の巡りも悪くなっていることがあるので,傷がなかなか治りません。
 このため,糖尿病の人は足の衛生に常に気をつける必要があります。足や足の指は毎日お湯で石鹸を使い洗いましょう。爪は注意して切りましょう。足に小さい傷がないかチェックし,もしあったら直ぐに主治医に報告し,早く治療を受けましょう。また足に傷をつけないよう,きちんと合った靴をはき足を保護しましょう。
 手足のしびれ以外にも神経障害の現れとして,立ちくらみや汗の異常,便通や排尿の異常,インポテンツなどがあります。
 
 2. 糖尿病性網膜症
 眼の奥には光を感じとる膜があり,ここを網膜といいます。高血糖が続くと網膜にある細い血管に障害がおこります。これが糖尿病性網膜症です。これは放置すると失明に至ることがあります。
 網膜症がないか,定期的に眼底検査を受けましょう。

 
 3. 糖尿病性腎症
 腎臓は血液をろ過して体の老廃物を尿として出している大切な臓器です。高血糖が続くと血液のろ過を行っている腎臓のなかの細い血管が障害され,腎臓の機能が低下します。これを糖尿病性腎症といいます。
 腎症の初期には尿に微量アルブミンが出,次第にタンパク尿が出るようになりますが自覚症状はほとんどありません。しかし更に腎症が進行すると高血圧,むくみ,貧血などが現れ,やがて血液中に老廃物がたまり腎不全となり人工透析が必要になってしまいます。
 
 4. 大血管障害
 糖尿病患者さんは,糖尿病でない人に比べて動脈硬化を起こしやすいのです。動脈硬化のため,心筋梗塞,脳梗塞や壊疽をおこしやすくなります。
 
 5. 感染しやすい
 糖尿病患者さんは感染症にかかりやすくなっています。とくに血糖のコントロールが悪いときは簡単に肺炎,尿路感染症,胆嚢炎,おでき,歯槽膿漏などを起こします。血糖コントロールの悪い人ほど感染症にかかりやすく,また治りにくくなります。
 糖尿病の人はこのように歯の病気になりやすいので,日頃から歯の衛生に注意しましょう。食後の歯磨きを習慣づけましょう。また,抜歯などを行う場合,血糖のコントロールが悪いと感染を起こしやすく,治るのに時間がかかってしまいますので,主治医とよく相談してから歯の治療を受けましょう。
 

4. 合併症の予防と治療

 以上のように,糖尿病合併症は大変おそろしいものです。このような合併症を起こさないために日頃の努力が必要なのです。全ての合併症は日頃の血糖値がよければあまりおこりません。
 HbA1cが7.0以上は合併症の危険性が高いです!

少なくともHbA1cを7.0以下にするよう努力しましょう。

 
 
 


 
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