2001年、5月の健康教室
 

 
 
糖尿病


 
 
1. 糖尿病とはどんな病気?

 インスリンは膵臓のβ細胞から分泌されるホルモンで,食事の後に血糖が高くなると血液中のブドウ糖を下げ,血糖がある程度以上にならないように調節しています。このように,インスリンは血糖を正常に保つために,なくてはならないホルモンです。糖尿病とは,このインスリンの作用がきちんと表れず,血糖が高くなる病気です。
 血糖を高いまま放置していると,気づかないうちに重大な変化が進行し,ある日突然恐ろしい合併症が襲ってくるのです。
 
2. 糖尿病の症状

 糖尿病の典型的な症状は
のどの渇き,
水分をやたら欲しがる,
おしっこの量が増える
体重が減る
 しかし通常糖尿病は,特別な症状や不快感がほとんどありません。ですから,検診などで血液検査を受け初めて分かることが多いのです。
 
3. 糖尿病の新しい分類

 先日(1999年5月12日)行われた第43回日本糖尿病学会総会で,わが国の新しい糖尿病の分類と診断基準が発表されました。
 
 
4. 糖尿病の新しい診断基準

  正常 糖尿病
空腹時血糖 <110mg/dl ≧126mg/dl
75gOGTT
2時間値
<140mg/dl≧200mg/dl
75gOGTT
の判定
両者を満たすものどちらかでも引っか
かれば糖尿病
正常と糖尿病の間を境界型
1.  空腹時血糖≧126mg/dl,75g糖負荷試験2時間値≧200mg/dl,
随時血糖≧200mg/dlのいずれかが,別のに日行った検査で2回以上あれば糖尿病
2.  @糖尿病の典型的症状(口渇・多飲・多尿・体重減少)の存在
AHbA1c≧6.5%
B糖尿病網膜症
  @〜Bのどれかがあれば1回だけの検査でも糖尿病
 
5. 糖尿病の合併症

血糖が高いままほうっておくと全身にさまざまな障害が起こってきます。これを合併症といいます。
 1. 糖尿病網膜症
目の網膜にある血管がもろくなり,出血を繰り返して失明することがあります。
 2. 糖尿病性腎症
腎臓も糖尿病でやられやすい臓器です。まず,尿にタンパクがおりるようになり,次第に腎機能が悪くなり,透析が必要になります。透析をしている人の第2位が糖尿病性腎症です。
 3. 糖尿病性神経症
高血糖が続くと神経が障害され,足が痛む,ジンジンする,しびれる,冷える,こむらがえりが起こるといった症状が現れます。これを糖尿病性神経障害といいます。また,立ちくらみや汗の異常,便通や排尿の異常,インポテンツなどが現れることもあります。
 

 
 4. 大血管障害
脳卒中
心筋梗塞・狭心症
壊疽(手・足が腐る)

 5. 感染しやすい
 
6. 糖尿病の治療
  残念ながら今のところ,糖尿病そのものを完全に治してしまうような治療法はありません。糖尿病治療の目標は,合併症を予防し,進行を抑えて日常生活に障害を出さないことです。
 合併症を起こさないための目安は HbA1c 7.0%以下 願わくば6.0%以下,空腹時血糖110mg
 
 1. 食事療法
  食事療法と運動療法は糖尿病治療の基礎となるものです。
 正しいカロリー量の決め方 (身長160cmの主婦の場合)
  標準体重=1.6×1.6×22=56.3Kg
  1日必要カロリー=56.3×30=1689カロリー

 

  軽労働 25-30,中等度 30-35,やや重い 35-40,重い 40
 
  ポイント!腹七分目
  1日3回食事をする(かため食いしない)
  ゆっくり食べる
  寝る前3時間は何も食べない
  薄味
 
 2. 運動療法
 早歩き(軽く汗ばむくらいの速さ)を1日30分,週3-4日
 
 3. 薬物療法
 (1)スルホニル尿素剤(SU剤):オイグルコン
     膵臓からのインスリン分泌を促進する
 (2)α−グルコシダーゼ:グルコバイ
     小腸での糖の分解・吸収を抑制する
 (3)インスリン抵抗性改善剤:ノスカール
 (4)ビグアナイド剤:グリコラン
 (5)インスリン療法
      ・勝手に治療を中断しないこと!
      ・低血糖に要注意!
 
7. 緊急事態

 1. 糖尿病性昏睡
糖尿病を放置したり,薬を勝手にやめたりすると,血糖が著しく高くなり全身に急激な症状が現れ,意識が無くなります。命の危険があるので大至急入院治療を要します。
 
 2. 低血糖
糖尿病の治療薬(飲み薬やインスリン)の使い方を間違えたり,食事を抜いたりすると,冷や汗がでたり,ガタガタ震えたり,ひどいときには意識がなくなったりします。低血糖症状が起きたらすぐにジュースや砂糖を飲みましょう。

 万が一の緊急事態に備え,常に糖尿病手帳を携帯しましょう

 
 
 
 


 
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