2001年、4月の健康教室
 

 
 

 
「今日のメニューは何ですか」
−夫と私の闘病日記−

 がんであったKさんは最期のひとときを御家族とともに家で過ごされ,御家族に見守られる中自宅で静かに息を引き取られました。
 亡くなられて1年を迎えようとする先日,Kさんが綴った闘病日誌をもとに,Kさんと共に病気と闘った家族の姿を克明に記した本を奥さんが出版されました。当初Kさん御家族は,がん患者は病院やホスピスしかないのかと思っていましたが,ふとしたことから在宅医療を受けることとなりました。奥様は,末期癌であっても自宅で最期まで人間としての尊厳を失わずに生きた日々を多くの人に知って欲しいという気持ちからこの本を書かれました。
 末期癌・在宅医療にご関心のある方に是非おすすめしたい本です。
 ご希望の方はお貸しいたします。小林クリニックまでご連絡ください。

 
 

 
健康教室
 
 
 
気管支喘息


 
1. 気管支喘息の病態は?

 喘息は,気管支に炎症が起こり,そのためにちょっとした刺激(冷たい空気,風邪などの炎症刺激,微妙な気圧の変化など)に敏感に反応してしまい,気管支が収縮し炎症がさらに悪化するという悪循環を起こています。この悪循環こそが喘息の正体で,単に気管支が痙攣するだけの病気ではありません。さらに発作を起し続けていると後遺症を起こし,もとに戻らなくなる可能性もあります。
 たとえ症状がなくてもこのような気管支の炎症は常に起こっているのです。
2. 喘息は治るか?

 喘息は本質的に完治する病気ではありません。こういってしまうとショックを受けられるかもしれません。しかし,喘息は高血圧や糖尿病などと同じ考えで,治すのではなくコントロールする病気なのです。
 症状がなくなっても,それは治ったのではなく病気が水面下にいるだけのことなので,自己判断での治療中断は大変危険です。

3. 喘息の症状

 明らかな喘鳴や発作がなくても,しつこく続く咳というタイプの喘息もかなりあります=咳喘息


 
4. ピークフローモニター

 自覚症状だけで喘息の重症度を判定すると時に対応が手遅れになってしまうことがあります。このため,ピークフロー値をチェックする習慣をつけましょう!
 測定は朝起きてすぐ(吸入前)と寝る前の2回行い,喘息日誌に記録しましょう。苦しくなくても,ピークフロー値が自分のベスト値の50%以下の時や,朝と夕の差が激しい時は要注意です。

5. 喘息の薬物療法 - 吸入ステロイドが中心です!

@ ステロイド
 ^吸入ステロイド:
 喘息は気管支の炎症なので,炎症を抑える薬が中心となります。発作がなくても炎症は水面下で持続しているので継続するのが原則です。吸入量は指示量をしっかり守りましょう。自己中断は危険です。喘息で亡くなる方は年間6000人ですが,亡くなる方は吸入ステロイドをしていない人なのです!ステロイドというと副作用をこわがる方が多いですが,吸入の場合全身にはほとんど吸収されないので(1%)こわい副作用はまったくありません。最近では子供にも使うようになっているほどです。ただし,口腔内にカビがつくこ   とがあるので,吸入後は必ずブクブクペッとガラガラうがいをしましょう。去年発売されたフルタイドは切れ味も良く,副作用の面からみても大変優れた吸入ステロイドです。
 _内服ステロイド:
 重症発作のため日常生活に支障をきたす状態の時にはプレドニンを6錠3日間だけ服用し,喘息の炎症の悪循環を絶ち切ります。3日だけの投与では全く副作用はありません。
 `ステロイド静脈注射:
 重症発作時には欠かせません。しかし漫然と注射すると重大な副作用をきたすので必要な時のみの使用におさえます。
A β2刺激剤(気管支拡張剤)
 ^吸入剤(アイロミール,メプチンエアー,サルタノールなど):
 発作の起こりかけの時に2吸入します。必ずインスパイアイースを使って吸入しましょう。インスパイアイースを使わないと肺に届きません!1時間に3-4回吸入しても効果がないときはすぐ連絡を下さい。発作の無いときには吸入しないで下さい。過剰な吸入は心臓の事故を起します。
 _ホクナリンテープ:
 1枚貼ると24時間効果を示す気管支拡張剤です。発作の頻発する期間に使うと夜中に発作で起きる回数も抑えられ便利です。また,吸入の気管支拡張剤に比べ心臓への副作用も少なく安心です。
B キサンチン製剤
 ^内服薬(ユニコン,テオドール):
 時代により治療上の位置づけが異なっておりますが現在は気道の炎症を抑える作用が注目されている気管支拡張剤です。
 _ネオフィリン点滴:
   重症発作時に投与します。

6. 症状とピークフロー値による自己コントロール

ピークフロー値自覚症状対応
自己最良値の70%以上  なし通常どおり
50-70%咳やゼーゼーが続く。吸入ステロイドを倍量
50%未満苦しくて日常生活に支障。プレドニン6錠3日間
測定不能苦しくて横になれない。しゃべれない。  すぐ受診
 
 
 
 


 
 バックナンバーの一覧へ戻る